第95章

水原茜は眉をわずかに吊り上げた。

「てっきり、私のことを単純に憎んでるだけだと思ってた」

涼宮佳奈は自嘲気味に笑う。

「小さい頃から顔だけは良かったから、幼稚園の頃にはもう、母が私をバレエに放り込んだの。『殻を破って白鳥になれ』ってね。……でも、私は向いてなかった。踊りの才能なんて、欠片もなかった」

「学生の頃は少し運が良くて、森田浩介と江原信之に出会えた。でも私、肝心なところでいつも運がないの。江原信之と一緒に遠くへ逃げたら、あっさり捨てられて……みっともなく一人で帰国した。で、森田浩介が「退いた先の最善」だと思った」

けれど結局、全部が空っぽになった。

涼宮佳奈は散々頭を使っ...

ログインして続きを読む