第99章

火元は水原丈也の部屋だった。使用人が気づいたときには、すでに炎が勢いを増していた。

水原茜はよろめきながら駆けつけ、窓越しに見えたのは一面の火の海――なのに、丈也の助けを求める声は聞こえない。

屋敷の警備員たちは扉の外に集まっていたが、誰ひとり踏み込もうとしない。しかも顔つきが妙だった。茜が目を走らせると、見慣れない顔が多い。視線は泳ぎ、なかにはじり、と後ろへ下がる者までいる。

背筋に冷たいものが走った。

鈴野家の手が、ここまで伸びている――。火が怖いんじゃない。救助を、意図的に止めている。

茜はその場で頭が沸騰しそうになり、怒鳴った。

「おじさんは足が悪いのよ! 早く入って助け...

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