第113章 どうやって渡ればいいのか

高濃度の硫酸だった。

佐藤義哉は咄嗟に星野星の手を引き、足早に出口へ向かった。だが、硫酸の広がる速さは異様なほど早い。通り道にあるものは、何ひとつ侵食から逃れられない。

扉のそばまで下がっても、安全なのはせいぜい一時しのぎだ。

硫酸が二人の足元に届くのも、時間の問題だった。

「このままじゃ駄目です。早く外に出る方法を見つけないと」

そう言った直後、佐藤義哉はふいに身をかがめ、星野星を横抱きにした。

反射的に、星野星は彼の首に腕を回す。

「あなた……」

「動くな。このほうが安全だ」

彼は星野星を見ない。ただ腕の中にしっかりと収め、万が一ここまで硫酸が来ても、彼女に触れさせない...

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