第121章 婚約解除

別荘には温泉があり、佐藤家の面々が午後に立てていた予定も、本来なら温泉に浸かることだった。

だが今となっては、誰もそんな気分じゃない。

影響を受けていないのは星野星だけだった。「出ていく」という重たい一言を投げ落としたかと思えば、そのまま温泉へ向かったのだから。

出ていくと言っただけで、婚約を解消するかどうかまでは口にしていない。それでも佐藤義哉の胸は、理由もなくざわついた。

彼は温泉の前まで追いかけた。男女別の浴場で、入口から中へは入らず、声だけを通す。

「星」

湯に浸かって心地よさそうな星野星が、気だるげに返す。

「……うん」

佐藤義哉は壁にもたれ、脇の植え込みをぼんやり...

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