第132章 同居生活

 その夜。

 佐藤義哉はソファに腰を下ろし、脚を組んで雑誌を広げていた。姿勢だけはやけに優雅だ。――なのに、誌面の文字が羽でも生えたみたいに、まるで頭に入ってこない。

 耳にまとわりつくのは、ざあざあという水音。

 星野星は浴室にいる。扉はすりガラスで、向こう側にほっそりした影がぼんやり浮かぶ。

 それに気づいてからというもの、義哉は一度たりとも視線をそちらへやれなかった。

 やがて水音が止み、ガラッと引き戸の動く音がする。

 喉仏がごくりと上下した。自然に挨拶でも――そう思って振り向いた瞬間、心を殴られた。

 長い手脚のしなやかな体つき。バスローブの下に隠れているはずの線まで...

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