第62章 おかしい

三人は言葉を交わす必要もなかった。示し合わせたように一人一頭ずつ受け持ち、星野星は一番左の一頭を選ぶ。短刀を抜き、その場に静かに立ったまま、猪のほうから間合いへ入ってくるのを待った。

残る二人についても、彼女は心配していない。猪一頭くらい、相手としては大したことがない。

いざ戦いが始まってみて、ようやく全員が気づいた。この三人、想像以上に動ける。揃いも揃って、きちんと鍛えた身のこなしだ。さっきまで面白半分で見物するつもりだった天崎詩織も、わずかに表情を引き締めた。

視線はずっと、星野星のほうを追っている。

この女、どうしてこんなに動けるの――。

だが、ほどなくして誰もが異変に気づい...

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