第75章 焦らない

「東村家?」

青山真楠は星野星のアシスタント――正確にはドクター星野の補佐役だ。ドクター星野に関わる社交の類は、すべて青山が取り仕切っている。

星野星は、連中がここまで嗅ぎつけてくるとは思っていなかった。むしろ気になるのは、東村東がよく今まで持ちこたえた、ということだ。

「明日の午後なら時間ある」

「ok」

翌日の午後。星野星は青山真楠から届いた住所を頼りに、クラブへ足を踏み入れた。

一台の車が、音もなく路肩に止まる。

佐藤義哉と小林健太が並んで降りた。

小林健太が舌打ちする。「あの大先生、遅すぎだろ。指輪二つにどんだけ時間かけてんだよ」

「時間をかけたぶん、出来は上がる」...

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