第79章 美人の計

「私は星野星の父だ。娘の誕生日を祝うために、わざわざ来たんだ」

星野家当主は、自らの身分を持ち出した。これまでずっと、その肩書きを屈辱のように感じていたというのに、今日に限っては少しくらい役に立つかもしれないと思えた。

だが、警備員はぴくりとも動かない。

星野美咲がやわらかく声をかける。

「私たちは本当にお姉ちゃんの家族なんです。中に入れてくださいませんか。お姉ちゃんだって、お誕生日に家族がそばにいてほしいはずです」

警備員は、彼女に一瞥すらくれなかった。

美貌も、今回は通じない。

美咲は気まずそうに引き下がり、胸の奥で煮えたぎる憎しみと羞恥を押し隠した。

「お姉ちゃん、私た...

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