第88章 名門はもともと汚い

彼は別に女遊びや博打に溺れていたわけじゃない。ただ外に女がいた。何年も囲っていた女が一人――孤児院で知り合った相手らしい。

辻谷家が彼を養い、彼は幼馴染を養う。

露見するまでは子どもにもそれなりに優しかった。だが一度バレてからは、辻谷寧々への態度が一変した。

殴る、罵る――そんなのはまだ軽いほう。

あの男の目に入っているのは、青梅が産んだ息子だけ。娘なんて、最初から大事にしていない。

「辻谷寧々は辻谷家のお嬢様なんでしょう。辻谷家が、あいつに好き勝手させるの?」

星野星は腑に落ちない。

佐藤義哉は鼻で笑った。

「辻谷家はもう昔の辻谷家じゃない。辻谷の親父は大物って柄じゃないが...

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