第90章 立ち去れない

佐藤奥さんは思わず苦笑した。

「まったく、この子ったら」

なるほど、ジジイが言っていたとおりだ。あの後輩ちゃんは、人に「驚き」を用意するのがいちばん好きらしい。見た目はまだ少女なのに、なぜか比べものにならない力を与えてくる。

星野星は指を鳴らすように手を鳴らし、肩を回した。

「来るなら来ればいい」

「来なかったらどうするんだ?」

武田信泉にも、こういう連中と渡り合ってきた経験はある。金の匂いがする連中は、腹の底まで黒い。まして小崎影みたいに何十年も生き残ってきた老狐なら、なおさらだ。

「来るわ」

星野星は淡く笑っただけだった。

狩人が獲物を手放すはずがない。

最後に「獲物...

ログインして続きを読む