第111章

立花一夜は何も言わず、手すりにもたれていた。長い指に煙草を挟み、ふっと煙を吐き出して輪を作る。

曽我介は語気を荒らげる。

「立花一夜、何とか言えよ。なんであの女を連れ帰った? 結婚してるくせに、昔の女が忘れられないとか言うなよ」

目黒千音は、いちおう彼の患者だ。ここしばらく接してきて、曽我介は彼女の人となりを本気で評価していた。そんな折に「立花一夜が初恋の相手を連れて帰国した」という話を聞き、我慢できずに真っ先に乗り込んできたのだ。

立花帝は白けた顔で目をひっくり返す。説得しても無駄だと悟ったのか、ソファにどかっと座り、脚を組んでゲームをいじり始めた。

「……俺には俺の考えがある」...

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