第112章

篠原小雨は、これ以上つらい話題に触れたくなかったのだろう。そこで会話は、ぷつりと途切れた。

一方、何も気づいていない目黒千音は、食事が終わりかけたところで「少し席を外すね」と言い、トイレへ向かった。――もちろん建前で、目的は会計だった。

支払いを済ませ、先に外で待とうとした千音は、廊下の曲がり角で見覚えのある背中を見つける。

目黒思月だ。

レモンイエローのミニスカートに学生っぽい格好。腕を絡めているのは中年の男で、脂ぎった丸い顔に、だらしなく垂れた頬。太い指が、いやらしく思月の尻をむにっと掴み、思月が甘い声を漏らした。

「太田さん、こんなに人がいるのに……」

「何が恥ずかしいんだ...

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