第115章

帰りの車内は、息が詰まるほど静かだった。

目黒千音と立花一夜は一言も交わさず、二人の間にはわざと空けたみたいな距離がある。

千音の胸には苛立ちが溜まっていた。こんなに離れて座っているのに、立花一夜に視線ひとつくれてやる気にもならない。

――何なのよ、急に。

出張から戻った途端、冷たい態度。いわゆる冷戦、いや、冷たい暴力みたいなもの。

自分が何か怒らせることをしたのか。千音にはまるで心当たりがない。

腹が立つことがあるなら、ちゃんと話せばいいじゃない。

夫婦なんだから。

運転席の音無補佐が、気まずそうに咳払いをしてから口を開いた。

「奥様、最近お仕事はお忙しいですか」

「そ...

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