第119章

「私だよ。芳子だよ。昔、夏目家で働いてた使用人の……」

芳子は顔に垂れた長い髪をかき上げた。現れたのは、傷だらけの顔だった。

無数の傷跡が縦横に走り、見る者をぞっとさせる。面影はほとんど潰れ、元の姿を想像することすら難しい。

――それでも、目黒千音は思い出した。

芳子。夏目家の古参の使用人で、千音が幼い頃、しばらく世話をしてくれた人だ。

名前を見たとき、どこかで聞いた気がした。まさか同姓同名だろうと思っていたのに……本当に、あの芳子だった。

千音は思わず声を上げた。

「芳子……どうして、こんな……!」

外祖父は使用人たちにいつも気前がよかった。昏睡状態になってからも、屋敷を離...

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