第125章

突然の怒声が飛び、個室は一瞬で静まり返った。

全員の視線が、目黒千音へと突き刺さる。

心臓がどくどくと脈打ち、頭の中では必死に打開策を探る。

けれど、もう手はない。できることは時間を稼ぐだけ。三十分後、篠原小雨が異変に気づいて通報してくれるまで――。

目黒林夫が、妙に探るような目で彼女の顔を見据えた。

「マスクを取れ。木下殿がお望みなら、おとなしく従え」

疑いの視線を受けながら、目黒千音は仕方なく口を開く。声色を意図的に変えた。

「申し訳ございません、木下殿。ここ数日、肌がかぶれておりまして……お客様のお気分を害してしまうかと。マスクは外しづらいです」

木下圭は口元を歪め、下...

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