第13章 目黒昭利

目黒思月が目黒千音に難癖をつけようとした、そのときだった。

背後から、ボディガードが車椅子を押して立花一夜を連れてくる。通路にいた連中は反射的に身を引き、まるで最初から用意されていたかのように道が開いた。

「目黒嬢」

海の底みたいに深い眼がこちらを射抜く。低い声には、理由のわからない艶が滲んでいた。

――私のこと?

思月の顔から、さっきまでの憤怒がすっと引く。代わりに頬が赤く染まった。

「立花社長……」

だが、言い終える前に。

立花一夜は彼女へ視線すら寄越さない。空気でも見るみたいに、完全に無視した。

車椅子が思月の横を通り過ぎ、目黒千音の目の前で止まる。

その瞬間、思月...

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