第35章 同じ布団で眠る

皆は慌ただしく目黒思月を病院へ運び込み、広すぎる目黒邸は途端に冷えたように静まり返った。

立花一夜が、目黒千音の肩をそっと叩く。

掌の温もりが布越しに伝わり、胸の奥に残っていた薄い陰りと悔しさを、少しだけ溶かしていく。

「行こう。帰ろうか」

柔らかな声。

千音は俯いて、一夜の目を見た。そこには波ひとつ立たない静けさがある。

――帰ろう。

その言葉は今日すでに一度、聞いていた。立花一夜が彼女を連れて目黒家へ戻ったとき、同じように口にした言葉だ。

今度は、どこへ「帰る」のだろう。

けれど、立花一夜がそばにいるだけで、どこだって帰る場所になる。そんな気がした。

胸がふっと温かく...

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