第38章 諦めない

「制作側から電話が入ったんです。てっきり主題歌の打ち合わせだと思って、そのまま来ちゃって……まさか、こんな目に遭うなんて」目黒千音が説明した。

そう言いながら、彼女は乱れた髪を手で整える。

平静を装いたいのだろう。しかし指先はかすかに震え、胸の底に巣食う恐怖だけが隠しきれなかった。

「今のお前は立場が違う。お前に何かあれば、立花家の責任問題になる」

立花一夜は眉をわずかに寄せた。

冷淡な口調なのに、目黒千音にはそれが「守る」と告げているように聞こえた。

もう、自分は独りじゃない。立花家がある。――そして、この人が背後にいる。

胸の奥がふっと温かくなる。目黒千音は頷き、素直に頭を...

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