第79章 返礼

立花一夜のひと言が、目黒千音を眠れない夜へ追い込んだ。悩みに沈んだまま、ようやく明け方近くになって寝落ちする。

――その頃。

財務省の執務室では、立花一夜もまた考え込んでいた。

ふいに口を開く。

「五郎。妻には、何を贈るのがいいと思う?」

「……は?」

五郎は面食らった。

前に突然「いい夫ってどうやればなれる」と聞かれたと思ったら、今度は「妻に贈るもの」だ。

恋愛経験ゼロの自分に、そんなことを聞かれても――答えようがない。

五郎は一瞬迷い、聞こえなかったふりをする。

「社長、今……何と?」

だが立花一夜は、同じ調子で繰り返した。

「彼女は、何を喜ぶ?」

五郎の背筋が...

ログインして続きを読む