第81章

目黒千音は定時まで仕事を終えると、同じ姿勢を続けていたせいで、さすがに疲れが滲んだ。

こきこきと固まった首を回しながら、ハンドバッグを手にオフィスを出る。

――新しく就任した実行部長に、誰かが高級ブランド品を山ほど贈ったらしい。

その噂は社内にあっという間に広まり、ちょっとした騒ぎになっていた。

目黒千音が通るたび、視線が集まり、やけに明るい挨拶が飛んでくる。

末端の社員たちは、彼女が目黒グループの最大株主だなんて知るはずもない。以前から「ただ者じゃない」とは思われていたが、数千万円級の贈り物の話で、その確信は決定的になったらしい。

目黒千音はいつもどおり柔らかな笑みを崩さず、丁...

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