第84章 手がかりなし

十数分もしないうちに、院長が医師たちを引き連れて慌ただしく駆けつけてきた。

「院長。今日、外勤に出た救急車はどれですか」

目黒千音が低い声で問う。

目黒千音の纏う重たい空気に、院長はなぜだか背筋が寒くなり、言葉までつかえた。

「そ、それが……目黒嬢。本日は当院の救急車がすべて出払っておりまして、残っている車両は一台も……」

「そんなに都合よく?」

千音の胸に疑念が浮かぶ。

「な、何がどうしてか、今日は患者が異様に多くて……数台は隣の病院から借りたほどで……」

院長は震える声で続けた。こんなことが重なるなんて、本人にも見当がつかないのだろう。

千音は監視カメラを救急車専用の搬...

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