第89章 闇料理

書斎で、曽我介はグラスを揺らしながら、視線をずっと立花一夜に据えていた。

「今じゃ本当に車椅子かよ。人ひとり助けるために、そこまでするか?」

立花一夜はちらりと目を向けただけで、何も言わない。

室内に沈む重たい気配に、曽我介は背筋が冷えた。こいつが本気で怒ったときの怖さは身をもって知っている。だから、さっさと口をつぐんだ。

――また前みたいに病院で半月も寝かされるなんて、冗談じゃない。あれは本気で恥だった。

「彼女のためなら、何だってする」

曽我介は額に手を当てた。呆れるしかない。あの状況で助けに入る危険さは言うまでもないし、目黒千音が夏目寧々かどうかだって確定していない。……重...

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