第97章 ちょっと好き

ショッピングモールに足を踏み入れた瞬間、目黒千音の視界に大手ブランドの店舗が飛び込んできた。迷う間もなく、彼女は篠原小雨の腕を引いて店内へと入っていく。

「千音、そこ……メンズだよ」

篠原小雨は全身で拒否を表現していた。

「知ってる。だから行くの」

「えっ?」小雨は大げさに目を見開き、声を裏返す。「ちょっと待って。私の知らないところで、こっそり恋してたとか?」

「……ただの男友達に買うって可能性、ない?」

千音はため息まじりに返した。

立花一夜のことは、今はまだ小雨に知られないほうがいい。そう判断している。

千音はラックから黒いシャツを一枚取り、胸の前に当ててみせた。

「こ...

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