チャプター 163

ニコラス

ニッキーが泣いているのは嫌だった。最高の夜を過ごすはずだったのに、その後で泣いているなんて。俺はそっとしておいた。あまり騒ぎ立てたりはせず、またしてもニコールの出方に任せた。ニコールが部屋から出てきたとき、俺は訊かずにはいられなかった。「彼女、大丈夫か?」「大丈夫よ、ニコラス。きっと、何もかもが一気に押し寄せてきちゃったのよ」「本当にそうだといいんだが、ニコール」「私もよ、ニコラス。私も」

ニッキーが眠っている間、俺とニコールはどこかのリアリティショーを見つけて観始めた。二人ともその番組に本気で興味があるわけではなく、それよりもニッキーのことが心配なのは確かだった。「彼女に何か特...

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