第202章

ニコラス視点

「男か女か、見えたか?」

俺はジェフリーに尋ねた。

「いいえ、確認できませんでした。それより問題なのは、誰があなたを尾行しているかです」

待ちくたびれたのか、その時点でニコルがSUVから降りてきた。彼女は俺たちに近づくと、「どうしたの?」と声をかけてきた。

彼女に心配をかけたくなくて、俺はとっさに言い訳を考えた。

「何でもないよ、愛しい人。ジェフリーがエンジンから妙な音がすると言うんだ。だからディーラーに車を見せに行かないといけないな、と話していたところさ」

ジェフリーの顔には、俺の嘘が気に入らないと書いてあったが、彼はあえて何も言わなかった。ニコルには俺の心がすべ...

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