第245章

ニコラス

私が指輪を取り出してニッキーの指にはめると、ティールームにいた全員の視線が私たちに注がれた。ニッキーも周囲に見られていることに気づいたに違いない。

「パパがね、ママと結婚してもいいかって私に聞いてきたの」

私のような年配の男が彼女の指に指輪をはめている状況を、妙に思われると感じたのだろう。ニッキーはそう説明した。すると、その場にいた皆が拍手を送ってくれた。本当に特別な瞬間だった。

指輪が指に収まると、ニッキーは手を空にかざしてそれを見つめた。

「これ、本物のダイヤモンドなの、パパ?」

「ああ、そうだよ」

「ええっ?」

「俺の大切な女の子たちには、最高のものしか贈らないさ」

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