第253章

ニコル

翌朝、目を覚ますと、部屋にかすかに彼のコロンの香りが残っているだけだったから、ニコラスがずいぶん早くに出かけたのだとわかった。会って、今日の産婦人科の予約のことを念押ししたかったのだけれど、どうやらそうもいかないらしい。オフィスへ行く支度をして、直接伝えなくちゃ。うまくいけば、病院へ行く前に一緒に食事でもできるかもしれない。オフィスに着くと、嬉しい驚きがあった。ニコラスはちゃんと覚えていてくれて、それどころか、私を家まで迎えに来るところだったというのだ。ニコラスはこの妊娠を本当に真剣に受け止めてくれている。私たちの結婚式は言うまでもない。プラザホテルのキャンセル枠を確保するために彼が...

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