チャプター 254

ニコル

私たちは手を繋いで診察室に入った。私はニコラスの手をものすごく強く握りしめていたと思う。でも彼は何も言わず、ただそうさせてくれた。待合室の椅子に座って医師を待っていると、ニコラスが私に寄りかかってきて、「大丈夫?」と尋ねた。赤ちゃんに何か問題があるに違いないと思って、泣きたくなった。なぜだかわからない。出血があったわけでも、お腹が大きくならなかったわけでもないのに。たぶん、最近の生活が何もかもうまくいきすぎていて、いつ破滅の足音が聞こえてくるかと身構えていたせいだろう。人生のすべてを台無しにする、あの破滅の足音を。私は針の筵にいるような心地で、その時を待っていた。「ううん、大丈夫」と...

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