チャプター 29

ニコル

翌朝、最悪の気分で目が覚めた。まだ熱があって、鼻水も止まらない。ベッドから出ようとすると、部屋のソファでニコラスが寝ているのが見えた。私が身じろぎした音で目を覚ましたのだろう。「どうした?」と彼が尋ねる。

「仕事の準備をしなくちゃ」

そう言ったものの、体はへとへとで、言ったように熱もまだあった。

「ふざけるな。ベッドで寝てろ。お前はひどい風邪なんだ、ニコル。他人の面倒を見られる状態じゃない」

「お金が必要なの、ニコラス。仕事に行かないと、お給料がもらえないのよ」

「病欠は?」

「ニッキーが病気の時に使っちゃうの」

「じゃあ、この十二年間、一度も病気になったことがないと?」

「馬鹿言わ...

ログインして続きを読む