チャプター 49

ニコラス

腹が立ったが、表には出さなかった。いや、動揺しているように見えたかもしれないが、そんなものじゃなかった。俺たちの人生に関わる重大な決断を、彼女が独断で下したというその大胆さに、俺は怒りを通り越していた。床で寝て、お腹を空かせていたこと、ニッキーが病気になっても誰も頼る人がいなかったことを聞かされた時、胸が張り裂けそうになった。でも、そんなことはない。彼女には俺がいた。いつだって俺がいたじゃないか。一緒に過ごした時間の中で、それを証明してこなかったか。確かに、父が古風な人間だという彼女の言い分は、ある意味理解できる。だが、俺に婚外子ができたからといって、父が会社を売却するとは思えなか...

ログインして続きを読む