第5章

 背筋を走った冷気は、ほんの一秒で消えた。致命的な危機感に叩き起こされ、脳が無理やり再起動する。

 モニターにはゾーイの警告が点滅していた。レイシーがさっき倒れ込んだ瞬間、私のハンドバッグにドラッグをねじ込んだ、と。しかも天井の小型カメラは、私がシャンパンタワーを怒り任せに叩き壊した一部始終まで撮っている。警察にバッグを漁られて禁制品が出たら――「薬物で錯乱し、傷害」という重い罪で、私は逃げ場なく俎上に載せられる。

 詰み。ほとんど完璧な詰みだ。

 けれど、あいつらは一点だけ見落としている。

「動くな! その場で両手を上げろ!」

 先頭の警官が拳銃を抜き、距離を詰めてくる。

 ド...

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