第6章

良太視点

意識が朦朧としたまま、俺は車を家へと走らせた。ハンドルを握る手は震えている。

二〇一九年三月十五日。

その日付は今や、脳裏に焼き付いて離れない。スターリングシルバーに刻まれた、優雅な書体。俺は何度も何度も計算を繰り返し、自分が間違っていることを願った。

俺たちが別れたのは二〇一八年の十二月。三月なら、その三ヶ月後だ。

彼女が俺のもとを去ってから三ヶ月で、もう他の誰かと記念日を祝っていたというのか。

自宅の車庫に車を停め、俺は長いこと、虚空を見つめてそこに座っていた。

なんて馬鹿だったんだ、俺は。彼女が本当に俺とやり直したいのかもしれないなんて考えて。彼女...

ログインして続きを読む