第6章

皆川霜介のもとに、ホテルから一本の電話が入った。

「皆川様、池の清掃中に指輪を一つお預かりいたしました。内側にお名前が刻まれておりましたので、もしやお客様の大切な品ではないかと」

霜介はすぐさまホテルへと駆けつけた。

その指輪はプラチナ製で、シンプルながらも洗練されたデザインだった。内側には確かに彼の名前が刻まれている。

「いつのことだ?」

霜介は指輪を固く握りしめ、声を震わせた。

「引き上げた際には泥が付着しておりましたので、落ちてからしばらく経っているかと。恐らくは一ヶ月ほど前かと存じます。お客様、一ヶ月前にご友人とこちらをご利用いただいております」

皆川霜介の胸...

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