第7章

 薬品臭のする粗いぼろ布が、容赦なく私の口と鼻に押し当てられた。

 必死に抵抗したが、手足が鉛みたいに重くなり、そのまま崩れ落ちる。

「嫌ってくれてもいい」ヴィクターが耳元でささやいた。声には押し殺しきれない震えが混じっている。「また愛させる。俺たちは二度と離れない」

 その一秒後、ドンの冷たく絶対的な威圧が、鉄槌のように場を支配した。

「周囲を片づけろ。車を前に回せ」

 私は乱暴にSUVの後部座席へ放り込まれた。

 取り立て役の男が二人、分厚いキャンバス地のベルトをつかむなり、私の手首を座席の肘掛けにきつく縛りつける。

 ボンネットの前方に、背の高い威圧的な影が立ちふさがった...

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