第4章

ロレンツォ視点

 周囲の喧騒が、唐突に遠のいた。クラウディアの笑い声、グラスが触れ合う音、祝杯の言葉――すべてが輪郭を失い、不鮮明な羽音のようなノイズへと変わる。

 膝から力が抜けていく。地面が傾いているような錯覚に襲われ、視界が歪む。誰かが俺を呼んでいるが、それが誰なのか判別できない。世界が回転し、耳をつんざくようなホワイトノイズだけが残った。

 ジョアンナが死ぬはずがない。絶対に、あり得ない。

 俺は無理やり自身の体を奮い立たせ、クラウディアを突き飛ばした。よろめきながら宴会場を飛び出し、駐車場へ向かって半ば走るように急ぐ。警備員も、トラブルも、俺を追う視線もどうでもいい。ただ、...

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