第5章

ジョアンナ視点

 私が姿を消してから、もう三ヶ月が経った。

 三ヶ月前、「エレナ・ロッシ」という母の旧姓――今や私の唯一のアイデンティティ――が記されたパスポートを握りしめ、あのプライベートジェットに乗り込んだのが、つい昨日のことのようだ。

 ソフィーの手配は完璧だった。豪華客船が爆発したあの夜の救命ボート、隠れ家、そして公式記録に残らないこの飛行機。ロレンツォは私が死んだと思っているはずだ。世界中がそう信じているように。

 離陸と同時に、窓の外でニューヨークが灰色の輪郭へと縮んでいった。十二時間後、私はナポリに降り立ち、レンタカーで海岸沿いの道を南下してポジターノへ向かった。母が生...

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