第5章

エマ視点

 飛行機に乗ってから、なんだか調子がおかしくなってきた。

 エンジンの低い唸り声が鳴り止まない。体のあちこちが痛む。

 視界がぼやけて定まらない。照明が眩しすぎたり、急に薄暗くなったりする。私は肘掛けを掴んで呼吸しようとしたけれど、肋骨が悲鳴を上げた。

 あの安っぽい包帯の下で、傷口が膿んで熱を持っているのがわかる。

 耐えなきゃ。あと数時間だ。

 でも、体はもう限界だった。

 誰かが話しているのが聞こえるけれど、その声は何マイルも遠くにあるみたいだ。

 そして、何もなくなった。

「君、聞こえるか? 大丈夫か?」

 無理やり目を開けた。男の顔。黒い髪、茶色の瞳。...

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