第四十四章

ハンナ

最後にぎゅっと手を握られて、母は両開きの扉の向こうへ担架で運ばれていった。その姿はすぐに見えなくなる。私は閉じた扉をしばらく見つめ続けた。まるで、どうにかしてその向こう側まで見通せるとでもいうように。

エマがそっと私の腕を引いた。「行こう。待合室、探さなきゃ」

私は彼女に導かれるまま廊下を進み、椅子のかたまりと小さなテーブルがいくつも置かれた広いオープンな部屋へ入った。ほかにも何人かがまばらにいて、雑誌を読んでいる人もいれば、壁に掛けられた音を絞ったテレビを虚ろに眺めている人もいる。不安を抱えた待機組の仲間たちだ。

「着替えてくる」エマが持ってきてくれたボストンバッグを指さして...

ログインして続きを読む