チャプター 6

ハンナ

最初の二十分は、そこまでひどくはなかった。リチャードはわたしに相談もせず高価なワインを一本注文したけれど、態度は丁寧で、わたしの勉強のことを尋ね、返事にも本当に興味を持っているように見えた。けれど、そのあとで会話の流れが変わった。

「前の妻は、私の立場に伴う重圧をとうとう理解しなかったんだ」彼はワインをくるりと揺らしながら言った。「二十三年も連れ添ったのに、顧客との会食で夕食に間に合わないたび、文句ばかりだった」

そのひと言をきっかけに、堰が切れたようだった。それから四十分、わたしは彼の離婚について、元妻の浪費癖について、そして示談で裁判官に「根こそぎ奪われた」と彼が思っているこ...

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