第12章

私たちが到着したとき、プライベート空港は夜明け前の闇に包まれていた。

私は和也から渡されたバッグを握りしめた。中身はグロック19と、わずかな現金だけ。携帯も追跡装置も入っていない。

和也側は翔太、亮がすでに来ていた。龍一のグループは少し離れた場所に立っている。大輔と、見知らぬ手下が二人。

空港の警備員が、和也と龍一以外の全員に金属探知機をかざしていく。

大輔の姿が目に入った瞬間、胃が締め付けられるようだった。田中さんの血の記憶が脳裏をよぎる。私は無理やり深呼吸した。

(落ち着いて。自分の役を演じるのよ)

プライベートジェットの内装は、レザーシートと磨かれた木...

ログインして続きを読む