第19話

ベラ視点

「ベラ、一体何をするつもりだ？」私がポケットから注射器を取り出すと、イーサンが鉄格子の向こう側から叫んだ。

「やるべきことをやるだけよ」私はメイソンを見据えたまま冷たく答えた。彼は弱っているように見えた。しばらく食事をしていないのだろう。ひどい寝不足だ。それでも、彼が私より強いことは分かっていた。この場所に数日閉じ込められていたからといって、私が力で勝てるわけではない。そんなことは最初からあり得ないのだ。

それでも私はメイソンに向かって歩み寄った。彼は立ち上がり、私に対して自分を大きく、強そうに見せた。実際、彼は強かった。小柄な私に比べれば、彼は巨大だ。だが、そんなことはどうで...