第30話

テッサ視点

戦いの真っ只中に飛び込むと、すべての動きが止まった。誰もが私を見た。皆、混乱していた。私の狼の姿を見た者は、これまで一人もいなかったからだ。それが普通ではないことを、私自身が一番よく知っていた。私は常に、本来あるべき大きさよりも遥かに巨大だったのだ。だからこそ、トリカブトで変身を抑制していない時でさえ、私は滅多に姿を変えなかったし、人前で変身することなど決してなかった。

けれど、タイラーがこの戦いに挑むことを思うと、恐怖で居ても立ってもいられなかった。彼一人に任せるわけにはいかない。父とマティアスがどう考え、どう動くか、私には手に取るように分かる。奴らは汚い手を使う。最初のチャ...

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