第32話

霧が近づいてくるにつれ、肌に粟が立ち、首筋の毛が逆立つのを感じた。

「今すぐ変身して。何かがおかしいわ」と私は言った。

「同感だ。先に行け」タイラーが言う。

私は周囲の気配をすべて遮断した。足、鼻面、そして毛皮に覆われた自分の姿を思い描くことに集中すると、変化が始まった。

最初の骨が折れて組み換わった瞬間、私は悲鳴を上げた。次から次へと骨が形を変えていく。変身が完了するまでに十分ほどかかり、それは耐え難い激痛を伴うものだった。だが、私が変身し終えるやいなや、タイラーはほんの数秒で姿を変え、私たちは二人して森の中へと駆け出した。

私たちは群れの縄張りへと向かっていたが、あの黒い霧が追っ...

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