第41話

救急箱を開け、傷口を生理食塩水で洗浄する。ガーゼを当て、その上から包帯をきつく巻いた。

「どこでこんな手当てを覚えたんですか?」ブリエルが尋ねた。

「父はこういう些細な怪我では、決して病院に連れて行ってくれなかったの。傷口を覆って皮膚を寄せておけば、自然と縫い合わさってすぐに治るって知っていたから。かなり小さい頃に、自分の手当ての仕方を覚えたわ」と私は説明した。

「ありがとうございます。本当に助かりました」と彼女は言う。

「どういたしまして。気にしないで」私はそう答え、部屋を見渡した。「他に手当てが必要な人はいる?」

するとグレイシーが、部屋の向こう側に座っている別の女性を指差した。...

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