第44話

タイラーと私がまだ狼の姿のままだった時、その魔女は黒く染まった瞳で私を真っすぐに見据え、「テッサァァァ」とシューッという音を立てるような声を出した。まるで私を呼んでいるかのようだった。以前耳にしたのと同じ声だ。やはり彼女が元凶だったのだ。しかし、なぜ魔女が私にちょっかいを出してくるのか?

タイラーが私の前に躍り出て攻撃の姿勢をとり、彼女に向かって牙を剥いた。私を守ろうとしているのだ。

『タイラー、やめて。彼女は境界線を越えられないわ。だからまだ手出ししてこないのよ』私は彼に念話(マインドリンク)を送った。

『なんでそれがわかる?』彼が尋ねる。

『感じるの。領土の周りに彼女を阻む結界が張られ...

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