第56話

「どうしたの? 群れ(パック)で何かトラブル?」私は尋ねた。

「ああ。俺がいないから自分がボスだと思ってるらしいんだ、アダムのやつ」とタイラー。

「アダムって下水管理の担当でしょ。どういう思考回路で、それが自動的にアルファ代理ってことになるわけ?」

「さあな。だが、あいつには群れの中での自分の立場ってやつを、きっちりわからせてやる必要があった。最下層だってことをな」

夕食後、グラディスが戻ってきた。その頃にはアンジェロも目を覚まし、ミッチェルを含む屋敷に住む他のヴァンパイアたちも起きてきていた。私とグラディスは再び中庭の中央に座り、特訓を始めた。ふと見ると、タイラーが壁に的を取り付け、弓矢の...

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