第57話

タイラー視点

「このクソ野郎が」俺がそう言うと、アンジェロは急に立ち止まった。バレたと悟り、その目を丸くする。

「誤解だ」とアンジェロは言った。

「テッサはここには残らない。だからあの魔女に無理やり力を押し付けさせたのか? 奴をここに縛り付け、時間稼ぎをするために?」

「違う。あの子には魔女の力が必要だったんだ。自力で覚醒するには時間がかかりすぎる。それに、あの『影の魔女』と対峙しなきゃならないんだ」アンジェロが説明する。

「なんであのクソ共はテッサを欲しがる? 何の用だ? それに、その呪いってのは何なんだ?」俺は答えを求めた。

「奴らの小ささを見ただろう。ちっぽけな狼だ。北の狼に...

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