第58話

テッサ視点

私は自室に戻ると、ドアを激しく叩きつけた。しばらく部屋の中を歩き回ってから、バスルームへ向かうことにした。そこのドアも同じように叩きつけたのだが、ドアは粉々に砕け散ってしまった。とっさに顔を覆ったものの、少しだけ切り傷を負ってしまった。とはいえ小さな傷だ、すぐに治るだろう。

洗面台に寄りかかろうとしたが、手を強くつきすぎてしまい、キャビネットごと壁から剥がれ落ちてしまった。私は後ずさりし、もう何にも触れないのが一番だと悟った。

寝室に戻り、部屋の中央の床に座り込んで深呼吸を繰り返していると、ドアが勢いよく開き、何事かとタイラーが駆け込んできた。彼はバスルームの惨状を目にし、そ...

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