第72話

その夜、私たちは少しでも睡眠をとろうと努めた。そして夜明け直後、私たち狼族は街外れの森へと向かい、そこで狼の姿に変化して木々の間を駆け抜けた。そのほうがフェニックスへ早く到着できるからだ。

現地に到着すると、私たちは町の周囲を慎重に探り、動くものすべてに目を光らせた。外周には何もなかったので、ゆっくりと町の中へと潜入した。そこには吸血鬼たちのために完全に遮光されたトレーラーハウスのようなものが並んでいた。一台に何人潜んでいるかは不明だが、町全体で二十五台を数えた。本当に、クソちっぽけな町だ。

ここにいる吸血鬼は、多くても百人程度だろう。だがその時、唯一の一軒家が目に入った。二階建ての建物だ...

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