第87話

テッサ視点

午後の残りの時間、あのゴミ箱の陰に隠れている間、誰にも見つからなかったのは幸いだった。だが、次第に日が暮れ始めた。町中の店が店じまいを始めているのに気づく。本当に小さな町だ。日が落ちれば開いている店などなく、通りからは人影が消え失せた。

誰か助けに来てくれる兆候がないかと思い、私は隠れ場所から這い出て辺りを見回した。だが、何もなかった。背後の通りに、誰かが舌打ちをしながら歩いてくるのが聞こえるまでは。

ゆっくりと振り返ると、通りの真ん中にキャサリンが立っていた。

「さて、どうするつもり? 吸血鬼や人狼のドンパチを目撃する人間なんてここにはいないわよ。だから、私がここで何をし...

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